東日本国際大昌平がいわき光洋とのいわき市対決を5-0で制し、3年ぶり4回目の準決勝進出を決めた。先発の前田陸投手(3年)が4安打11奪三振の完封、打ってはチーム合計12安打5得点と投打がかみ合った。

東日本国際大昌平は最速151キロ右腕のエース草野陽斗(3年)だけじゃない! 前田はこの試合がこの夏初めての先発。前日夜に伊藤博康監督(52)から「おまえに託した」とマウンドを任され、「すごく緊張しましたが、絶対に落とせないと思って全力でいきました」。奮い立った左腕は初回から2つの三振を奪う3者凡退。3回から7回まで5イニング連続3者凡退と安定した投球でゲームメークした。持ち味は「ストライク先行でバックを信じて打たせて取る投球」だが、この日は11奪三振。そのうちの8つが空振り三振。前田は「良いボールがいった時に空振りが取れました」と満足げ。快投でチームの勝利に貢献した。

前田が強く意識していたのは「チームを勝たせること」ともう1つ、「草野を準決勝のマウンドに立たせること」だった。「(草野は)練習に対して熱心。高い意識をお手本にしています」。背中を追いかけ、互いに切磋琢磨(せっさたくま)してきたエースの活躍の場を完封勝利という最高の形で用意した。前田は「(草野を)準決勝のマウンドに立たせることができてうれしい」と喜んだ。

準決勝の相手は春の東北王者・聖光学院だ。この日両軍最多の3安打をマークした佐藤壱聖主将(3年)は聖光学院のエース・佐山未来(3年)とヤクルトジュニアでともにプレー。大会前に佐藤が「準決勝までこけないように」とLINEを送れば、「そっちこそ」と佐山が返す関係だ。佐藤は「(佐山とは)楽しい思い出ばかり。相手同士になってどういう対戦ができるのか楽しみです。死に物狂いで聖光を倒しにいきたい」と意欲十分。同校13年ぶりの決勝進出へ、旧友との対決を制してみせる。【濱本神威】