聖光学院が3年ぶりに決勝に進出した。東日本国際大昌平の最速151キロ右腕、草野陽斗(3年)を攻略。0-0の2回2死三塁から7番伊藤遥喜内野手(3年)が、チームに流れを呼ぶ先制適時打をマーク。3回には打者8人で計4得点。福島の剛腕を2回2/3でKOした。試合前の2日間はマシンを使った近距離打撃を実施し、速球対策に取り組んだ。決勝は今日27日、昨夏の準々決勝で敗れた光南と対戦する。

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洗練された「聖光野球」に死角なし。最速151キロのエース草野を擁する東日本国際大昌平に6-0で快勝。3年ぶりの決勝進出を決めた。試合後、斎藤智也監督(59)は「できすぎていることに警戒をしながら、試合を見守っていた感じです。選手たちがよくつかまえてくれた」。

目の色を変え、序盤から剛腕に食ってかかった。2回2死三塁の先制機。伊藤の執念が勝った。わずか3球で追い込まれたが、ファウルで5球粘った。この日の最速149キロの直球に振り負けないため、バットを指2、3本分短く持った。カウント2-2からの10球目。147キロの内角直球をはじき返し、一、二塁間を破った。「2ストライクになってから、しっかりヘッドを回してコンパクトに振れた」。3回には2本の適時打で4得点。「剛腕撃ち」を果たした。

この試合の適時打3本中2本が2ストライクから。伊藤は「ファウルを1本でも多く打つ。食らいついていくことはチームで徹底している」と強みを明かした。1球1球に各打者が執着し、簡単にはアウトにならない。しつこく、したたかに、相手投手を攻め立てていく。

試合前の2日間は150キロに設定した打撃マシンを、12~13メートル手前に置いて打ち込んできた。「体感速度は160キロから170キロくらいでした。最初は全く当たらなかったけど、2日目にはクリーンヒットも打てるようになってきた」。目を慣らしたのが本番に生きた。

借りを返すには最高の舞台が整った。決勝は昨夏の準々決勝で敗れ、大会15連覇を阻まれた光南戦。赤堀颯主将(3年)は「苦しい展開になることは分かっている。目の前の一瞬一瞬をやり切って、自分たちの野球を貫いていきたい」。2度も同じ相手に負けるわけにはいかない。雪辱Vで夏の「福島頂点」に返り咲く。【佐藤究】

小林打たせて零封

聖光学院・小林剛介投手(3年)が先発の責務を全うした。8回を投げ散発4安打投球。130キロ台の直球に緩い変化球を操り、緩急をつけた。奪った三振は「0」。味方のバックを信じながら打たせて取り、三塁すら踏ませなかった。「マウンドを託されたので、チームを絶対に負けさせたくないと思って投げた。良い入りができたのかなと思います」と納得の表情で振り返った。