<シン・うるうるマン:知内・坂本拓己投手(3年)>

目の前にあった甲子園にあと1歩届かなかった。試合後チームメートと健闘をたたえながら、自然と涙があふれ出た。「悔しい部分はあるけど、それ以上に仲間の大切さだったり感じる部分が多かった。とてもいい経験になりました」。最後の夏準優勝に堂々と胸を張った。

準決勝は9回115球完投。「疲れがある中でどれだけいい投球ができるかというのが今日のカギだったが、やっぱり(球が)甘くなってしまったり、まだまだだなと」。3回に先制適時二塁打を献上するなど3失点。「甘く入った球はすぐに持っていかれる。打線にスキがないと思った」。ここまでの南大会3試合を1人で投げ続けてきたが、この日は7回10安打5失点と打ち込まれ、8回から馬躰にマウンドを譲った。

函館勢として97年函館大有斗以来、25年ぶりの甲子園出場は果たせなかった。知内町役場と同校ではパブリックビューイングが行われるなど、後押しも受けたが町民4000人に吉報を届けることはできなかった。坂本は「この経験をステップに、これからの野球人生につなげたい」とプロ志望届を提出する意向を示した。【山崎純一】

◆初の夏甲子園出場にあと1歩届かなかった知内・吉川英昭監督(46) 結果的に勝たせてあげられなかったなという思いと、ここまで来てくれて本当にありがとうという思い。彼らはベストの力を出してくれた。(南)北海道で一番長い夏にできましたし、ほめたいと思います。