兄ちゃん、打ったぞ! 海星が天理を下し、4強入りした1976年以来、46年ぶりに夏の甲子園2勝を挙げた。同点の2回2死二、三塁で、1番河内夢翔(ゆめと)外野手(3年)が右前に決勝の2点適時打。「今日も活躍したよって伝えたいです」。脳腫瘍で闘病中の弟、愛季(あいき)君(8)がスタンドで見守る中で、兄がヒーローになった。

愛季君は生後10カ月で脳腫瘍が見つかった。今なお2週間に1度治療に通っている。昨年からは視力も著しく低下し、両目ともに0・1以下になった。スタンドから兄のプレーを見ることはできない。それでも母・美友紀さん(45)の説明や周囲の歓声を頼りに、必死に応援している。「すごいなぁ」。「夢ニイ」と呼ぶお兄ちゃんの雄姿には、何度も励まされてきた。美友紀さんも「お兄ちゃんが活躍したらうれしいみたいですね」と、うれしそうだった。

1、9回にも二塁打を放ち、3安打の活躍。2回の守備では中堅への飛球を背走キャッチし、球場を沸かせた。試合前には愛季君から「頑張ってね。活躍してね」と手紙でエールをもらった。「手紙のおかげで、活躍できました」。照れながら、「夢ニイ」は勝利を喜んだ。【只松憲】