9年ぶり出場の富士宮北が、初出場の湖西を11-1の5回コールドで下し、秋季県大会では21年ぶりに初戦を突破した。本年度で定年の塩川光史(みつし)監督が、60歳の誕生日を迎えたこの日、手腕を発揮。チームを圧勝に導いた。

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富士宮北の塩川監督が、21年ぶりの勝利をつかんだ。初回に先制されるも、終わってみれば5回コールドの快勝。60歳の誕生日に教え子たちから白星を贈られ、「良いことがありましたね」と目尻を下げた。

富士宮北の遊撃手として、1980年(昭55)のセンバツに出場したOB。日体大を卒業後、富士宮北に赴任し、吉原工や沼津商でも監督や責任教師を務めた。17年に母校の監督に“復帰”。昨年には日本高野連の「育成功労賞」を受賞するなど、野球部の指導に約30年間あたってきた。長年の経験で培った「勝負勘」は、この日もさえた。

「初出場で勢いもある相手。どちらが先に流れをつかむかが大事だった」と、東部地区予選から打順を変更。練習から好調だった5番・小岱晄瑛(こぬた・こうえい)外野手(2年)を1番で起用した。そのキーマンが4安打2打点と火付け役となり、14安打11得点で湖西を圧倒した。

先発9人を中心にバットを振り込んできた成果が実り、チームは好発進した。2回戦では、名門・静岡高に挑む。塩川監督は「もう1度、公式戦で静高とやりたかった。この選手たちなら少しは頑張れると思う」。還暦の指揮官は、下克上を狙っている。【前田和哉】