札幌、室蘭など5地区で13試合が行われた。札幌地区で札幌新川が札幌山の手を2-0で下し、4年ぶり秋全道に王手をかけた。右腕エース井口敦人投手(2年)が9回5安打無失点で公式戦初完封。新チーム結成直後にチームで取り組んだ股関節の可動域を広げるトレーニングの効果発揮で、快投をみせた。

9回2死、最後の打者を三ゴロに打ち取った井口が雄たけびを上げた。125球を投げ5安打5奪三振で公式戦初完封勝利。「内角と外角に投げ分けができたことがよかった。序盤はコントロールにバラつきがあったが、みんなが点を取ってくれて、安心感を持って投げることができた」。疲れた表情も見せず、174センチの右腕は涼しい顔で汗を拭った。

ピンチはあったが、要所でギアを入れ、得点を許さなかった。6回2死から三塁打を打たれたが、次の打者を直球で空振り三振。8回2死一、三塁の場面では、またも直球で見逃し三振を奪った。「自分はストレートで押していくタイプ。今日はストレートできっちり抑えることができた。ここぞというところでしっかり投げ切れた」と納得の投球だった。

新チーム結成直後の7月に、課題だった走り方改革が行われた。河崎淳監督(57)と選手たちが情報収集し、陸上100メートルで活躍した元北海道ハイテクAC所属の仁井有介氏(38)を講師に招き、速く走るためのフォーム改善に着手した。その一環として教わったのがハードルを使って股関節の可動域を広げるトレーニングだった。

股関節に柔軟性が出た井口の投球にも、効果は表れた。プレートから踏み出す足の幅が、6足分から7足分に広がった。「(左足に)乗り切れるようになった。最後に球を押し切れるので、球威も上がったと思う」という手応えがこの日の投球につながった。

これで18年以来の秋全道に王手をかけた。井口の兄寛人さん(20)はその4年前に同校の主将捕手として出場。1勝を挙げている。「自分も全道の舞台で投げたい」。目指すは兄と同じ道。地区予選突破へ階段はあと1つだ。【山崎純一】