大阪桐蔭が今夏の甲子園準々決勝で負けた下関国際に雪辱を果たした。2年生エースの前田悠伍投手が志願先発。魂を71球に込めた。毎回、走者を出したが、4回無失点。146キロ速球を軸に緩急をつけた。2点リードの4回1死一、二塁。カーブ、外角速球で連続の空振り三振を奪った。

前田は明かす。「絶対にリベンジするぞという気持ち。(夏に)自分が打たれて負けた。絶対に借りを返したいと思った」。胸に抱く悔しさをぶつける唯一無二の機会に心は高ぶった。

8月18日。1点リードの9回、下関国際を後押しする声援は重圧になり、押しつぶされた。決勝打を浴びて敗戦。V候補筆頭の夢を断たれ、涙した。「下関国際に負けて今までで一番悔しい思いをした」。2日夜、西谷浩一監督(53)に先発を直訴。救援予定だったが心意気を買われた。

先発はリスクもあった。国体も1週間500球以内の球数制限の対象になる。同校は8日、秋季大阪大会準々決勝を控え、勝てば9日の準決勝へ。この日の球数は9日まで積算される。負担を軽くする選択肢もあるなか、勝負した。5日の決勝は聖光学院(福島)と対戦。エースの気迫で、昨秋の明治神宮大会、今春センバツに続く「3冠」に王手をかけた。【酒井俊作】

▽大阪桐蔭・西谷浩一監督(前田を先発起用) 昨日の夜、会ったときに「できたら先発できないですか」と。伸び伸びとしぶとい打線に緩急をつけて投げた。

▽大阪桐蔭・星子主将(下関国際にリベンジ) 秋春夏連覇を目指してやってきて負けた相手。次は負けないぞという気持ち。勝ち切れて本当によかった。