「夏秋制覇」に挑む! 第53回明治神宮野球大会に3年ぶり8度目出場の仙台育英(東北・宮城)が今日19日、沖縄尚学(九州・沖縄)との初戦を迎える。同大会に臨む5投手を紹介する「獅子の投手王国」最終回は、急成長を遂げた最速141キロ左腕・菅野圭汰(2年)です。「不屈の心」で日々の練習に励み、高校初の背番号を手にした。遅咲きのサウスポーが秋の全国舞台で公式戦デビューを飾る。

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新進気鋭のサウスポー、菅野が「140キロ超えクインテット」の一員となった。背番号は「17」。高校初のベンチ入りだ。神宮に臨む5投手全員が140キロ超え。全国屈指と呼ばれる「投手王国」にまた1人、期待の新星が加わった。菅野は「状態は良くなっている。球威で押していきたい」と闘志をみなぎらせた。

1歩ずつ、成り上がってきた。入学して約1年半。地道に積み重ねた努力は、裏切らなかった。「1年前はメンバーになっているイメージもなかった。正直、実感が湧いていない」と率直な心境を明かす。東豊中(宮城)軟式野球部出身。入学当初は最速124キロだったという。昨冬を越え、体つきがひと回りたくましくなり、投げ込むボールの質も変わってきた。今年6月には球速が140キロを計測。今秋東北大会後のオープン戦で、入学当初から17キロアップの最速141キロをマーク。目に見える形で結果を残し続けた。須江航監督(39)は「(菅野は)急成長しています。これからまだまだ良くなると思います」と、大きな期待を寄せる。

弱音を吐く時もあった。「もうベンチには入れないんじゃないか」。同学年の選手が試合に出場するのを見る度に不安と焦りが募った。そんな時、1冊の本を手に取った。上原浩治氏(元巨人、レッドソックスなど)の著書「不屈の心」だ。菅野は「『誰にも負けない』という思いが強くなった」と刺激を受け、グラブにも「不屈の心」と刺しゅうを入れた。

育英ナインは「秋の全国制覇」へ、第1歩を踏み出す。今日19日、九州・沖縄地区王者の沖縄尚学と初戦を迎える。「登板する機会があれば小さくなって投げるタイプでもない。真っすぐでどんどん押していく」と菅野。神宮を舞台に渾身(こんしん)の1球で公式戦デビューを決める。【佐藤究】