日本高校野球連盟が若手指導者の育成を目的とする事業「甲子園塾」の2日目は26日、神戸市の神戸学院大付グラウンドで実技指導を行った。

元星稜監督・山下智茂塾長(77)は最初に、全国から集まった21人の若手指導者と、同校の選手に向けて「球際にこだわってほしい。先日、サッカーで勝てたのも球際に強かったから。球際とはあきらめないということ。人生も野球もあきらめたら終わりです」と声をかけた。

今回の特別講師、智弁和歌山・中谷仁監督(43)は惜しみなくプロ・アマで培った知識と技術を披露した。最も強調したのはキャッチボールの重要性。「スローやピッチではなく、なぜキャッチボールと言うか。もしかしたら悪いボールが来るかもしれないと備えること、反応することが大事だから。準備が一番大事な練習なんです」と時間をかけて説いた。

「キャッチボールを本当に大事にしていれば、ノックなんていらんねん、と智弁和歌山では言っている」と明かすと、選手たちは驚いた様子を見せた。

トス打撃の意味、バントの技術や考え方。自らノックバットを握ったケース別守備では、タッチの位置まで細かく指導。フリー打撃や捕手のブロック、スローイング、投手のブルペンと6時間にわたって、くまなく教え回った。

受講者たちはメモを手放さず、スマホやタブレットで指導の様子を撮影。隙があれば個別に質問し、中谷監督も丁寧に答えた。理論を押しつけることはなく、意見交換しながら互いに理解を深めた。

中谷監督は「僕は智弁和歌山でも今日やったような練習をやっています。基本は変わりません。小さなこだわりや意識の高さで差が生まれる。細かいことを大事にすれば大きい仕事ができると思います」と締めて練習を終了した。