今年も高校生への「イチロー塾」が始まった。日米通算4367安打のイチロー氏(49=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が27日、都立新宿のグラウンドで、同校の男子硬式野球部員を前日26日に続いて指導した。

20年2月に学生野球資格を回復したイチロー氏の高校野球指導は3年目で5校目。公立校への訪問は昨年の高松商に続いて2回目だが、今回は都心の進学校だ。これまでは20年12月に智弁和歌山、21年に国学院久我山(東京)、千葉明徳、高松商で熱血指導した。

今月3日には東京ドームで、自らが立ち上げた草野球チーム「イチロー選抜KOBE CHIBEN」の一員として女子高校選抜と真剣勝負を繰り広げた。試合後には約1時間も女子選手と野球談義した。

都立新宿は「日本一の文武同道の達成」を目標に掲げる屈指の進学校。小学生対象のアカデミーを開くなど独自の活動が注目されている。今夏の東東京大会は4回戦に進出した。元中日の東大・井手峻監督(78)の母校。

<過去のイチロー氏の高校野球指導>

◆智弁和歌山(20年12月2~4日) 初日は「観察」、2日目から徐々に指導を開始し、最終日にはフリー打撃も披露した。21年の甲子園大会前にも「ちゃんと見てるよ」とメッセージを届け、21年夏にチームは21年ぶりの頂点に立った。

◆国学院久我山(21年11月29、30日) フリー打撃では72スイングで11本の柵越え。三振しない「最後のテクニック」を伝授した。リードの取り方など走塁技術も惜しみなく指導。チームは22年センバツで初の4強進出と快進撃につなげた。

◆千葉明徳(21年12月2、3日) 初めて甲子園出場経験のない高校を訪問。ナインだけでなく指導者にも助言。「(練習は)めりはりが大事。ダラダラが怖い」と話し、試合中の采配についても具体的なアドバイスを送った。今夏は甲子園出場した市船橋に4回戦で敗れた。

◆高松商(21年12月11、12日) フリー打撃では意図を説明するなど、手本となって技術を伝えた。「この2日間の時間をたまに思い出してほしい」とティー打撃で使用したバットをプレゼント。今夏の甲子園では8強入りした。