桜美林のエース、吉田啓人投手(3年)が9安打されながらも1失点完投。

5回には高校通算1号となるソロ本塁打も放ち、投打で勝利に導いた。

気持ちでは絶対に負けない。6回以降、毎回走者を背負う厳しい展開にも「みんなが守ってくれる。打たせてとる」と、力強い真っすぐを投げ込んだ。「自分は気持ちを出して投げる投手なので」。アウトを取るたび、マウンド上で笑顔で大きくガッツポーズ。エースの強い気持ちが、相手に流れを渡さない。粘り強い投球で、1点リードを守り切った。「野球を始めた頃から、楽しいと気持ちが出てしまって。出そうと思ってじゃなくて、つい出ちゃうんです」と、屈託なく笑った。

巨人杉内コーチが好きで、高校入学後は、動画で何度も現役時代の活躍を繰り返し見ては投球フォームをまねてみた。「キレイなフォームから、伸びのある真っすぐが魅力的だと思って」。勝利をひとつずつ重ねるごとに、自信をつけている。

自慢の真っすぐを武器に、仲間を信じ、打たせて取る投球で、エースらしく投げきった。「僕は守備に助けてもらわないとアウトが取れない。でも、今日の勝利はすごいうれしかったです」。マウンドを降りても、吉田の笑顔はとびきり輝いていた。