相洋が接戦を制し、昨秋県王者の横浜を破った。

タイブレークで迎えた延長10回1死一、二塁。打席に立った主将の渡辺怜斗捕手(3年)は「気持ちが一番」と言い聞かせた。目の前に立つのは、今秋のドラフト候補にも挙がる杉山遙希投手(3年)。「気負けしたらエリートに勝てない。ウチは2年生投手が頑張っているんだ。絶対に打つ」。1ボールからの真っすぐに体が反応し、左越え適時打。二塁走者を迎え入れ、勝ち越しに成功した。

杉山対策は万全だった。「肩を開かずに逆方向に打つ」。フォームを徹底し、アウトコースには手を出さず。インコースを捉えた。高橋伸明監督は「力の差はあるけど、受け身にならない。そのためにも先手をとりたかった」との狙い通り、先制点を取ると、選手たちは一気呵成(かせい)に攻め込んだ。同点に追い付かれてもひるまず。粘り強く戦った。

チームのテーマは「最後までやりきる」。この冬は、走り込みでも最後まで駆け抜けるなど、練習を見直し徹底。「やりきらないと、粘りが出ない。試合につながる」と、声をかけあった。渡辺は「冬の成果が出て良かったです」と笑顔を見せた。

渡辺は中学時代、オセアン横浜ヤングでプレー。横浜の緒方漣内野手(3年)とはチームメートだった。「負けたくなかったです」と試合後、胸の内を明かした。

準決勝では関東大会出場を懸け、東海大相模と対戦する。「守備でも粘って粘って攻め続ける。誰よりも声を出して全員が1球に入り込んで戦っていきたいです」。相洋は、勢いに乗る。