昨夏の奈良大会決勝と同じ顔合わせとなった3回戦は、天理が11-1の5回サヨナラコールド勝ちで生駒を倒した。

初回に松本大和内野手(2年)、大谷汰一外野手(2年)、冨田祥太郎内野手(1年)の3連打などで6点を先取。2回には藤原凪秀(なぎほ)外野手(2年)が豪快なアーチを左翼スタンドにたたき込んだ。10-0で迎えた5回、生駒も反撃。2死一、二塁から草野純外野手(2年)の三塁ゴロが相手の失策を誘い、1点を挙げた。だがその裏に天理が石黒輝慶捕手(1年)の適時打で1点を奪い、サヨナラコールドとなった。

両校は昨夏の奈良大会で対戦した。生駒は準決勝で強豪の智弁学園を破り、破竹の快進撃で同校初の決勝に進出。だが準決勝の夜、部員に新型コロナウイルス感染による体調不良者が続出した。ベストメンバーを組めない状況で、決勝を迎えた。相手の苦境を気遣った当時の天理主将、戸井零士内野手(現阪神)が9回2死から試合を止め、優勝してもガッツポーズなしで整列することを確認。静かな幕切れが、居合わせた観客の共感を呼んだ。

その後、9月初旬に3年生同士で練習試合を行い、天理が3-2で勝利。両校の3年生にとっての引退試合で、今度は両チーム一緒になって喜び合い、2年半の部活動に別れを告げていた。

この日先発した生駒・内海大和投手(3年)は、体調が万全なら、そこまで連投が続いていたエース北村晄太郎(こうたろう、当時3年、現関大)に代わって昨夏決勝で先発する可能性があった。だが内海も発熱で投げられず、1年生左腕の草野が登板した。その草野の打球が、この日唯一の生駒の得点を生んだ。

生駒の北野定雄監督(63)は「昨夏に続いてまた公式戦で対戦できるとは、やはりご縁があるのでしょう。春やらせてもらったことで力のなさが理解できたと思います。練習すると思います」と語った。チーム3安打中2安打を放った谷口寛文主将(3年)は「自分たちはまずは私立を倒したい。私立とこの試合展開になってしまって悔しいです」と、夏への刺激を受けた。

大差のついた試合になったが、天理の中村良二監督(54)は「ベンチからの声出しなどを聞いても、「声出しなど、みんなでやろうという気持ちは変わらない。生駒野球だと感じました」と、昨夏の快進撃につながった相手の長所を認めた。下林勇希主将(3年)は「1、2年の頑張りが、3年への刺激になっています」とチーム状況を語り、戸井前主将からの「全員が1つになるチーム力が、チームを強くする」という思いを受け継ぎ、夏へと向かう。【堀まどか】