山形中央が東海大山形に2-1で競り勝ち、2年連続決勝進出。3回、4番中川碧人(あおと)外野手(3年)が決勝適時打を放ち、最速147キロ左腕・武田陸玖投手(3年)を援護。武田陸は5安打8奪三振1失点で完投した。

   ◇   ◇   ◇

山形中央は陸玖だけじゃない! 3回表1死一、三塁のピンチから右犠飛で先制点を献上。その裏1死一塁で武田陸は二飛に倒れ、2死一塁。そこからが“チーム山形中央”の見せ場だった。3番・渡辺聖翔(しょうと)外野手(3年)が右中間に抜ける同点適時二塁打を放ち、1-1。なおも2死二塁のチャンスに、「物おじしないフルスイング」が持ち味の4番中川が登場。初球の外角直球をフルスイング。中堅へはじき返し、一塁上で力強くガッツポーズ。「(武田)陸玖だけのチームじゃなくて、チーム山形中央として、1人1人が主人公意識を持って夏に臨んでいる」。言葉通りの主役級の活躍を見せた。

1点リードで迎えた9回表1死二塁で1度、2死一、三塁の場面でもう1度、タイムをかけ、ナインがマウンドに集合した。武田陸は2度のタイムを振り返り、「こういう展開を望んでいたというか、『来たよ、来たよ』とずっと言っていた。(マウンドでは)『おもしろくなってきたね』とか『とにかく笑顔で楽しもう』と話していました」。逆境を楽しみ、笑顔で乗り切って勝利をたぐり寄せた。この日は「今までで一番、みんなで戦えた試合だった」と満足げに語った武田陸。だが、「『今日の試合がよかった』じゃなくて、次もっとよくなるように」と向上心を忘れなかった。

昨年涙をのんだ夏の決勝に帰ってきた。しかし、あくまでチームの目標は「甲子園優勝」。全国の頂点を見据え、まずは山形の頂点に立つ。【濱本神威】

【高校野球 各地のスコア・日程】