「前川超え」の全国制覇へ、第1関門突破だ!

智弁学園が、3本塁打を含む12安打8得点で2年ぶり21回目の優勝を飾った。今大会5試合で12本塁打は同校が19年に持つ大会最多記録に並んだ。小坂将商監督(46)は「2年前の前川たちを思い出すような打線」とたたえる強打で聖地へと乗り込む。

その中心は1年春からベンチ入りの松本大輝外野手(3年)だ。初回、先頭で初球のカーブを右翼に運び、先制弾。7-1の8回にもダメ押しの高校通算31号となるソロを放った。「自分の1本でチームが乗ってきたと思う」と照れ笑い。小坂監督も「緊張感がある中でほぐしてくれた。いいバッターですよ」と手放しで喜んだ。

松本は1年夏、現阪神の前川右京らが活躍し、甲子園で準優勝する姿をボールボーイとしてグラウンドで見ていた。「ここでプレーしたい」。その思いは誰よりも強かった。だが、昨夏は準決勝で生駒に敗れ、センバツ出場をかけた秋季大会でも天理に及ばず4強止まり。結果が出ない悔しさを胸に、最後の夏に向け、冬場は食事とトレーニングで体重を6キロ増やした。さらに「振り込んできた自信がある」と毎日1000本以上の素振りも欠かさなかった。

この日は憧れの前川先輩から高校の引退時に譲り受けたレガーズをつけ、自らのバットで試合を決めた。「甲子園でも先を見ず、目の前の相手を倒して日本一になる。ホームランも打ちたい」。聖地で快音を響かせる準備は万全だ。【村松万里子】

◆松本大輝(まつもと・だいき)2005年(平17)10月31日生まれ、奈良県奈良市出身。三碓小1年から奈良ジュニアファイターズで野球を始め、富雄南中では奈良西リトルシニアに所属。智弁学園では1年春から背番号16でベンチ入りし、1年秋からレギュラー。50メートル走6秒2、遠投100メートル。181センチ、90キロ。右投げ左打ち。

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