大垣日大の阪口慶三監督(79)は孫とともに出場できる最後の甲子園で通算40勝をつかんだ。甲子園勝利監督の最年長記録も更新だ。

ベンチの最前列で身を乗り出した阪口監督は鋭い目つきで視線を送った。1-0の3回。3番米津と4番高橋の連打で1死一、三塁の好機。5番山田が中越えの適時二塁打で追加点を挙げると、何度も手をたたいて喜んだ。中盤には「おい、大きい」の一言でナインに振りが大きいことを伝え、7回に3得点。長年の経験を生かした采配がさえ渡った。

孫である4番高橋と二人三脚でつかみとった白星でもある。普段は「監督」、帰省したときは「じいちゃん」と呼び、お年玉ももらう。阪口監督は「孫は本当にかわいい」とデレデレだ。勝利への執念も祖父譲り。今春センバツでは1回戦で敗れ監督に40勝を届けられず。「絶対に夏(甲子園で)勝つぞ」と練習に励み、自らのバットで貢献した。センバツ後に未経験ながら転向した捕手としても活躍。高橋のリードで6回途中まで2失点と好投した山田は「それも阪口マジックかな」と笑った。

孫は「40勝しようと選手同士で言っていたので、勝ててうれしいです」と笑顔。阪口監督も「ここ(同校)でやらせてもらって幸せ。100歳までやりたい」とまだまだ現役宣言だ。聖地40勝は「阪口グランドチルドレン」からの最高の贈り物となった。【村松万里子】

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