広島高山健一スカウト(52)の次男、裕次郎外野手(2年)が攻守で勝利に貢献した。初回に1点先制されて迎えたその裏、1死三塁から、同点の中前適時打で流れを引き寄せ、箱山遥人捕手(2年)の右越え適時打で勝ち越しに成功した。

中堅の守備でもチームを救った。7回には2死満塁のピンチに中前適時打を許したが、本塁に突入した二塁走者を低く矢のような送球で刺した。「刺せなかったら負けてしまうくらいの気持ちで投げました」。青柳博文監督(51)は「あのバックホームは見事」とたたえた。

広島、西武でプレーした元プロ野球選手の父と、6歳上で同校OBの兄遼太郎内野手(富士大)の影響で野球を始めた。仕事柄、家を空けることが多い父の代わりに、兄がいつも練習相手をしてくれた。18年夏の群馬大会決勝。兄は前橋育英にサヨナラ負けで、甲子園出場を逃した。「スタンドで兄の涙を見て、自分は絶対に甲子園に行く、と心に決めた」と、同じ道を選んだ。兄はそんな弟に「自信をもって頑張って欲しい」とエールを送った。

裕次郎には大きな目標がある。「プロ入りもそうですが、父も兄も達成できていない甲子園全国制覇です」。4強入りを目指し、夢の舞台をたぐり寄せる。