日米通算4367安打のイチロー氏(49=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が4、5日の2日間に渡り、北海道・旭川東のグラウンドで、同校の野球部員を指導した。

北国は昼間も気温10度を下回るほど。初日は午前11時40分。冬の足音が聞こえるグラウンドにイチロー氏が足を踏み入れると、一列に並んで待っていた選手35人、女子マネジャー7人からは、「うわー」と歓声があがり、保護者からも拍手が沸いた。

今回はこれまでのサプライズ訪問ではなく、約1カ月前に選手に告知済み。西中剛志監督(43)は「あとであれを聞いておけば、と後悔しないため」と、選手たちは準備万全でイチロー先生を迎えたが、世界を代表するスター選手を目の前に、最初は緊張が走る。イチロー氏も「今テンパってるよね(笑い)」と、高校球児たちの素直な反応を笑顔で見つめた。

イチロー氏に、旭川東の関係者から熱い思いが届いたのは21年大みそかのことだった。同校は過去10度も北海道大会の決勝に進みながら甲子園に出場できず。昨夏は53年ぶり11度目の決勝進出を果たすも再び敗退。イチロー氏は「実はそこで勝っていたら来ていないです。そこでまた同じように11回目を経験した旭川東のね、ちょっとでもきっかけになれたらという思いでね、今日は来ました」と選手に説明。「悲願をかなえ未来の礎となるきっかけを残せたら」と訪問を決めた。

早速、練習を開始するにあたり「まず動いてみて、僕の動きを見て感じたこととか、そっちを大事にして欲しい。一緒に練習して、何かね、感じてもらえればと思います」と話し、2日間の練習をスタート。イチロー氏は、ウオーミングアップから選手たちと一緒に練習。「声出てるじゃない」、「じっとしていると実は伸びていない。ストレッチしているのに緊張しちゃう。硬くなっちゃう」と動的ストレッチを勧めるなど、選手たちに話しかけた。