高崎健康福祉大高崎(群馬)が8強入りを決めた。天候不良のため3試合予定が2試合に。試合開始も4時間半遅れたものの動じず、エース佐藤龍月投手(2年)は球も自身も走って、7回無失点。石垣元気投手(2年)との継投で4-0で明豊(大分)を破った。連覇を目指す山梨学院も創志学園(岡山)に4-0で勝利。27日に2回戦4試合が行われ、8強が出そろう。

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誰にでもど忘れはある。3回無死一塁。高崎健康福祉大高崎のエース佐藤が「完全に忘れてて…」と身を縮めたのは、三塁へのベースカバーだ。

自身がはじいたゴロを、三塁手がカバーし一塁アウト。でも三塁ががら空きになった。「サード、サード!」。響く声を聞き、三塁を狙う走者を見て、佐藤はマウンド横から猛ダッシュ。一塁手からの送球を背走で捕り、走者にタッチし2つのアウトを奪った。

即座に三塁カバーに入れば、走者は二塁のまま。ど忘れが奏功し、アウトを2つ奪った。捕球をミスすれば失点し、流れを明け渡した可能性も十分にあった。50メートル走は6秒1。「外野もやってるので半身でキャッチできるのは得意なので」という高い身体能力のリカバリーで流れを引き寄せた。

慌てず走者を追った視野の広さも自慢だ。神奈川・川崎市の西中原中を卒業した。「1クラス40人で1学年13クラスでした」という全国屈指のマンモス公立中。それでも500人以上の同学年のうち「8割以上は覚えています。みんなは『あの子、誰だっけ?』とか言うんですけどね」と胸を張る。試合の流れを察知しながらギアも入れ、4~7回は走者を許さなかった。

これで今大会、14イニング無失点。高校進学にあたって50校近くから声をかけられ、その中には今大会出場校も「けっこう…」と照れる左腕。「連投はあまりしたことがないので、普段以上にケアして準備していきたいです」。あと3勝。広い視界には当然、頂も入ってくる。【金子真仁】

○…石垣が完封リレーを完成させた。同じ2年生の左腕佐藤の後を受け、8回から登板。最速149キロで押し込み、試合を締めた。「一番の武器のカットボールで空振りを取れたのが良かった」と振り返った。ライバル佐藤のタッチプレーには「運動神経がいいので『やる』と思ってました」とたたえつつ「ライバルなので負けたくない」と闘志も燃やしていた。

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