仙台育英が東北学院に7-0で勝利。3試合連続のコールド勝ちで、準決勝に駒を進めた。先発の福井勇翔投手(1年)が7回1安打6奪三振。悔いが残った15日の公式戦デビューのリベンジも果たし、勝利へと導いた。名取北が今夏準Vの東北学院榴ケ岡を9-2で下し、秋としては初の4強入りを決めた。

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2回の一幕。仙台育英ベンチが笑いに包まれていた。福井は初回に続き、2イニング連続で先頭に四球を与えた。ベンチに戻ってきてもしっくりこない表情。須江航監督(42)は見逃さなかった。「先頭にフォアボール出すのが趣味なの?」。福井は「趣味じゃありません」と真顔。「『趣味です』くらい言ってくれれば…」。指揮官の言葉にベンチもひと笑い。さらに、福井もその言葉に、ふっと肩が軽くなっていた。3回以降は立て直し無四球。先発起用にしっかりと応え、試合をつくった。

県大会初戦の仙台商戦(15日)で公式戦デビュー。先発し3回1安打3四球。緊張はなかったが、思うような結果が得られなかった。「体のバランスが原因でリリースポイントがずれたりと崩れてしまって、コントロールがきかない状態でした」と理由は明白だった。この日は前回登板時の反省が頭をよぎり、緊張もあった。体のバランスもいまひとつ。そんな福井を救い出した一言だった。「須江先生からの言葉もあり、どんどん自分の感覚が戻ってきました」と本来の姿が帰ってきた。

ロマンあふれる期待のホープだ。最速は140キロながら、変化球5球種を操る右腕。小学野球では肩や肘の障害防止により、変化球は禁止されている。解禁された中学では、好奇心から何球種も試した。これが、今につながっている。指揮官も「変化球のコンビネーションが良いので、この球速帯でもしっかりとピッチングできるので信頼しています」とお墨付き。「まだ1年生なので来年は出力も上がると思いますし、3年時には注目ピッチャーになると思います」と期待を寄せている。

本来の姿を取り戻した新星の見せどころは、ここからだ。【木村有優】

◆福井勇翔(ふくい・ゆうと)2009年(平21)8月1日生まれ、千葉県出身。豊上ジュニアーズで野球を始め、ヤクルトジュニアでもプレー。中学時代は松戸中央ボーイズに所属。仙台育英では1年秋に初のベンチ入り。最速140キロ。177センチ、74キロ、右投げ右打ち。

○…確信の1発だった。初回に先頭が出塁。続く2番・田山纏(まとい)外野手(2年)が右翼スタンドに先制2ラン。「打った瞬間でした」と完璧だった。夏は1番として「とにかく出塁」を意識。この秋は2番を打つ。「返すことやランナーを進めることが役割だと思うので、バリエーションが増えました。相手にインパクトを与えて、自分の役割をしっかりと果たしたいです」と力を込めた。