<高校野球宮城大会:登米5-4気仙沼向洋>◇12日◇2回戦

 東日本大震災の津波で校舎や練習場が壊滅した気仙沼向洋が、2回戦で姿を消した。190センチの右腕エース斉藤弘樹(3年)が6回7安打4失点。「震災は言い訳にしない」と話したが、明らかに影響を受けた投球で、制球、球威とも本来の姿には程遠かった。

 3回に3点を先行された打線は、3-4の8回裏に同点に追いつく意地を見せた。だが、斉藤に代わって7回から好救援していた高橋将大(3年)が9回表に決勝のソロ本塁打を右翼に浴びた。昨夏の準優勝校が早すぎる終戦に号泣した。

 津波で自宅を流失した三浦岬主将(3年)は「気持ちではどうにもならないこともある。あきらめない姿勢は見せられたけど、これが実力」と潔く敗戦を受け止めた。川村桂史監督(37)も「気負いすぎていた。ただ、震災の被害を受けたのはうちだけじゃない。やれることはやってきたつもり」と言い訳せず、気丈に帰りのバスに乗り込んだ。