<高校野球福島大会:双葉14-0好間>◇15日◇2回戦

 東京電力福島第1原発から約3・5キロ。福島大会の出場校で最も原発に近く、部員の約半数が転校した双葉が、郡山市の開成山球場で初戦に臨み、好間を5回コールドゲームで下した。

 双葉は甲子園大会出場3回の伝統校。しかし、現在の部員は15人で、うち10人が3年生。大会が終わると部の存続が危ぶまれる状況だ。田中巨人監督(38)は「なくしたくない。何とかつなげたい」と切実に語る。

 1回に本塁打を放ち、投げては4回を無得点に抑える活躍を見せた田仲元貴(17)は「自分たちの活躍を見て後輩が入部してくれれば途切れることはない」と部の存続へ強い意気込みをみせた。

 田仲はもともと外野手だった。本格的に投手を始めたのは震災後。15日朝には神奈川県に転校した元エースから「頑張れよ」とメールをもらった。「情けないピッチングはできない」と臨んだ田仲の活躍に、父親の克好さん(49)は「プレッシャーがあったと思うがよくやってくれた」と活躍をねぎらった。

 スタンドでは、同じく警戒区域内に学校があり、前の試合で勝利を収めた小高工高の選手らも試合を観戦した。双葉の勝利を見届け、田中監督と握手を交わした小高工の片山龍監督(35)は「同じ思いをしているので、頑張ってほしい」と話す。原発事故が与えた影響は大きい。だが、夏はまだ終わらせない。