強豪・天理(奈良)が、7月9日開幕の第93回全国高校野球選手権奈良大会への出場を辞退した。3年生が2年生を殴って頬骨を折るなどのけがを負わせる暴力行為があったことが分かり、学校が23日付で県高野連に辞退届を提出した。

 学校の会見によると、1日夜に室内練習場や寮などで、3年生4人が練習中の態度に問題があったとして2年生3人を殴り、うち1人に右頬骨折や耳の鼓膜が破れるけがを負わせ、他の2人にも軽傷を負わせた。さらに「『練習中にボールが当たった』と言え」と口止めをした。野球部長が翌日2年生1人のけがに気付いたが「ボールが当たった」という説明を真に受けていた。17日朝にトラブルを指摘する匿名の電話があり、3年生に問いただして暴力行為が発覚した。

 同校は春21回、夏25回甲子園に出場し、春夏で計3度優勝。昨秋と今春の近畿大会を20年ぶりに連覇し、今夏も奈良の優勝候補だった。3年生4人は今年のセンバツのメンバーだった。

 飯降成彦校長は「申すべき言葉もない」と会見で謝罪。森川芳夫監督と大西卓也部長の辞任を受理し、3年生4人の無期限停学処分を発表した。天理は09年9月にも野球部員1人が強制わいせつで逮捕される事件が起こり、森川監督と当時の野球部長が謹慎した。

 今夏は、仙台育英(宮城)の野球部員7人が建造物侵入容疑で書類送検されたほか、北大津(滋賀)でも部員1人が道交法違反の疑いで逮捕されたが、日本高野連は地方大会出場を許可。ただ天理は寮生活で暴力事件が起きたこと、部員がけがを負ったことを重視。出場辞退を選択した。