<高校野球茨城大会:常総学院10-0水戸一>◇16日◇2回戦

 今夏で勇退が決まっている木内幸男監督(80)率いる常総学院が快勝発進した。

 傘寿を迎えた木内監督が攻めダルマと化した。1回、先頭打者が四球で出塁したが、強攻策を続けて無死満塁とした。4番滝沢雅也内野手(3年)の左前適時打で2点を先制。5番和田丈内野手(3年)にセーフティーバント(記録は内野安打)は命じたが、犠打なしで一挙4点。その後も強攻策の連続で長短打を繰り出し、4回までに水戸一から10点を奪って勝負を決めた。

 初戦から甲子園を見据えていた。「向こうで勝つには力をつけんといかん。何もやらんと決めていた。今日はコールドか接戦だと思っていた」。奇策にも見える「木内マジック」で3度全国優勝した。しかし「マジックで勝つ時代じゃない。力で勝てないと。小技とか守りじゃ上にいけない時代。切り替えた」。力任せに引っ張るだけではない。14安打のうち8本は中堅から逆方向。「硬軟あわせてやる。どうしても打てない試合が2試合はある」。力強さと緻密さを統合し、ニュー木内野球が生まれた。

 12日に誕生日を迎えた。練習後、孫ほどの年齢の部員たちから「♪ハッピーバースデー、ディア幸男~」と歌のプレゼントがあった。「70過ぎたら知らないふりをしてくれるのが親切だ」と照れたが「老いぼれた姿を見せちゃいかん」と気合を入れ直していた。

 投手陣は、先発秋山頌(3年)から3投手の継投でパーフェクトリレーが決まった。2番手の143キロ右腕の斉藤大輔(3年)は「今年は03年をほうふつさせるいいメンバー。笑顔で最後の花道を飾ってあげたい」。8年ぶりの全国Vで、有終の美を演出する。【斎藤直樹】