<高校野球埼玉大会:大宮東10-0八潮>◇17日◇3回戦

 大宮東・今川涼介外野手(3年)が大暴れだ。2打席連続本塁打を含む4打数4安打4打点の活躍で、八潮に5回コールド勝ち。自らのバットでコールドを決める“サヨナラ”打も放った。2回戦の深谷戦でも、6回コールド勝ちを決めるソロ本塁打を放つなど、2戦3発と絶好調だ。吉本博監督(45)は、OBで高校通算68本塁打の西武平尾を引き合いに出し、「ここ1カ月なら今の平尾レベル」と急成長ぶりを認めた。

 「やっぱり来ちゃったか…」。5回裏2死満塁。3番を打つ今川は、この回2度目の打席に向かいながら思っていた。3回に右翼へ2点本塁打、そして5回の打者一巡の猛攻のきっかけとなった右翼へのソロ本塁打と、そこまで3打数3安打3打点。「2本目の本塁打が詰まっていたのに入ったので、何かあるかな」と淡々と打席に入った。4球目をあっさりと左前に運びコールドとなる10点目の“サヨナラ”打を放った。

 吉本監督が「並外れていた」と振り返る打撃力を買われ、1年の夏からレギュラー。50メートル6秒2の俊足を生かした広い守備範囲も魅力だ。右に左に打ち分ける巨人高橋由ばりの広角打法が持ち味で、高校通算17本塁打。昨冬の走り込みとウエートトレーニングによりパワーも増した。6月はスランプに苦しんだ。練習試合で安打が出ず、結果を出さなければと焦った。だが、練習でフォームを固めるうちに「考えすぎていたのが不調の原因。今は考えすぎず、甘い球が来たら振れるようになった」と精神的にも成長した。

 今大会ではすでに3本塁打。ただ、4番高山亮内野手(3年)へのつなぎを重視して「飛ばすことはあまり考えない」という。今川の成長ぶりを吉本監督は「心の安定がすごい。ここ1カ月ぐらいの伸びだと今の平尾レベルじゃないか」。高校通算68本塁打のOB、西武平尾を引き合いに出した。それでも今川は「つなぐ意識でチームが勝っていければ」と控えめだ。慌てず、騒がず。勝利のために黙々とバットを振る。【島根純】

 ◆今川涼介(いまがわ・りょうすけ)1993年(平5)4月8日生まれ。小学生で野球を始め、中学時代は浦和シニアで外野手。最近聴いている音楽は西野カナ、HY。50メートルは6秒2。家族構成は父、母、弟、妹。178センチ、74キロ。右投げ左打ち。