<高校野球南北海道大会:札幌一6-1北照>◇19日◇準々決勝◇札幌円山

 札幌一が難敵・北照を退け、3年ぶりの甲子園へ一気に加速した。この夏から前向きな性格と思い切りの良さを買われて1番に抜てきされた斉藤慎次郎三塁手(3年)が、センバツ代表との大一番で真価を発揮。1-0の5回裏1死一塁から左中間へ適時二塁打を放ち、チームを勢いに乗せた。1点を返された6回には中犠飛で突き放す一打。「トップ打者として勢いをつけたかった。特に昨年負けた相手だったので、気持ちが入りました」と振り返った。

 菊池雄人監督(40)は「いいところで、よく打った」と仕事を果たした男を褒めた。北照に1点差で惜敗した昨秋全道決勝では4番を任せられながら、左翼へ4飛球に三振と打てなかった。「冬場の練習では北照戦のことが頭を離れませんでした。今日はライトフライ4個打つつもりで、右を狙いました」と気持ちを込めた。「同じ相手に2度負けたら、本当に弱い」と言った指揮官の言葉も胸に染みた。

 学校で10日に開催された陸上男子10種競技のロンドン五輪代表、右代啓祐(スズキ浜松AC)の壮行会で偉大なOBに共感した。日本人で同競技48年ぶりの五輪出場の裏に、高校時代のたゆまない努力があったことを知った。「すごい人です。努力の大切さをあらためてかみしめました」。

 1番に定着した最後の夏の地区予選打率は3割6分4厘。2-0で勝った1回戦の札幌大谷戦では、7回に貴重な追加点をたたき出した。この日も4打数3安打2打点。チームは13安打6得点で、北照に借りを返した。高石主将は「甲子園出場を決めるまでリベンジは終わりません。ここで浮かれている場合ではない」と引き締めた。【中尾猛】