<高校野球広島大会:広陵18-0音戸>◇19日◇2回戦◇みよし運動公園野球場

 サイクル目前、広陵佐野がリンリン発進だ。第3シードの広陵は夏初戦で音戸に5回コールド大勝。2回には打者19人で15点を奪う猛攻だ。佐野恵太捕手(3年)は適時三塁打を含む3安打3打点と活躍した。

 チーム改革のカギを握る広陵佐野が「3番捕手」で初戦から大当たりだ。

 初回2死から中前へライナーを放つと中堅の動きを見て二塁打とした。2回には中前適時打を放った後、大量点で再び打席が回る。1死二、三塁から緩い変化球に食らいついた。右翼フェンス直撃の2点適時三塁打に、緊張感いっぱいだった表情がようやく緩んだ。

 3回の打席では右翼への大飛球がファウル。惜しくも左飛に倒れてサイクル安打を逃したが、4打数3安打3打点。捕手としても4人の投手をリードして無失点に抑えた。チームは2回に打者19人で15得点を含む猛攻で18点を奪って5回コールド発進となった。

 佐野

 完全に捉えたわけでないけど、自分のスイングはできました。最初は地に足がつかなかったけど、途中から自分のプレーができました。

 新チームは昨秋の県大会で2回戦敗退。直後に中井哲之監督(50)の改革は始まった。中心は二塁手だった佐野の捕手コンバートだった。「肩も強いし、捕手として必要な瞬発力を持っている」というのが理由だ。かつて白浜(広島)、小林(日本生命)らを捕手に回した成功例がある。佐野は「捕手になるとは思わなかった。打撃の時間を捕球練習に回したりしました」と振り返る。

 プロ候補の他選手を見に来たスカウトが佐野を見て驚いたという。二塁への送球が1秒88。2秒を切ることが基準となる世界でお墨付きをもらった。

 母の兄は南海、西武、阪神でプレーした佐々木誠さん(46=現NTT西日本監督)。ベストナイン6度の名選手に触れながら、佐野は育った。小さい頃から「打撃フォームをチェックしてもらった」と話す。叔父譲りの瞬発力を備えて、捕手としてチームを甲子園へ導く。【中牟田康】