<高校野球広島大会:高陽東3-2広陵>◇21日◇3回戦◇コカ・コーラウエスト

 広陵、涙-。中井親子の挑戦が終わった。第3シードの広陵は高陽東に敗れ、2年連続3回戦で敗退となった。中井惇一主将(3年)はチームワークをモットーに笑顔を貫いたが、父・中井哲之監督(50)とタッグを組んだ夏が終わった。

 試合に負けても、笑顔を貫いた。広陵中井主将は泣きじゃくるナインを見ては声をかけて励ました。

 中井

 笑顔なら見えない力が働くと言われた。きつくても自分だけは笑顔で行こうと思っていました。

 悔しくてたまらない。主将として最後まで表情に出さないように気を配った。

 4回に暴投で1点先制。6回2死満塁から瀬尾真平投手(3年)が走者一掃の適時二塁打を浴びて逆転を許した。直後に佐野恵太捕手(3年)のソロ弾で1点差に迫ったが、及ばなかった。中井も3打数無安打1四球に終わった。

 父・中井監督に相談せず、中井は独断で広陵進学を決めた。入学後、気持ちの中では親子の縁を切った。父を「先生」「監督」と言い換える。各学年の主将を務め、2年夏には主将に選出された。就任以来、練習では「甲子園」「日本一」と書いたユニホームを1年間ずっと着用した。選手の主将への信頼は厚かった。主将をスタメンから外したとき、中井監督は選手から「なぜ主将を外したのですか」と猛抗議を受けたこともあった。

 指揮官は惇一には厳しかった。チームにミスがあれば最初に主将を叱った。「他の先生から『息子さんに厳しすぎませんか』と注意を受けたこともある」と振り返る。

 夏は短かった。それでも、中井監督は「気持ちのあるチームだった」と選手全体をたたえた。現世代は仲間という財産を得て、次の野球人生に挑む。【中牟田康】