<高校野球秋季神奈川大会:平塚学園2-1桐光学園>◇22日◇準々決勝

 甲子園を沸かせた「ドクターK」、松井裕樹投手(2年)擁する桐光学園が平塚学園に1-2で逆転負けし、来春のセンバツ出場が絶望的となった。松井は2安打12奪三振2失点(自責1)で完投。今夏の神奈川大会準々決勝から公式戦10戦連続の2ケタ奪三振をマークしたが、暴投に失策とミスが失点に直結してしまった。

 わずか被安打2での敗戦に、松井は肩を落とすしかなかった。「味方のエラーをカバーするのが自分の役割。タイムリーを打たれた自分の責任です」。一塁手の落球で走者を出した5回2死三塁。カウントを整えにいった直球を二塁打され、勝ち越しを許した。来春センバツの出場が、早くも絶望的となってしまった。

 ミスが失点に直結した。1回には5番打者に“昇格”した自らのバットで先取点を挙げたが、3回2死三塁から暴投で同点に追いつかれた。最大の武器であるスライダーが、指に引っかかりすぎた。だがそれは、勝負に出た証し。野呂雅之監督(51)も「夏もスライダーで勝ってきた。同点覚悟のストレートよりいい」と責めなかった。

 松井が真骨頂を発揮したのは逆転された後だ。6回には、4番の相手エースを含む3者連続三振。8回まで9個中7アウトを三振で取った。直球は今大会自己最速の145キロをマーク。だが力投もむなしく、打線の援護はなかった。「三振がいいのかどうか分からないけど、もっと味方が点を取れるような流れをつくらないといけない」。驚異の10戦連続2ケタKも、満足いく結果に至らなかった。

 「ロースコアでもゼロに抑えれば負けない。完封を追い求めたい」。「変化球に頼らなくても抑えられるようになりたい」。今夏完投勝ちした相手に敗れ、口をつくのは反省と課題ばかりだ。この冬、取り組みたいことが次々浮かぶ。

 甲子園8強で散った時、松井は涙ながらに来年の全国制覇を誓った。残された全国舞台へのチャレンジは、もう来夏のみ。「夏まで長いですけど、目標を見失わず、全員で徹底して厳しい練習をしていきたい」。最後の夏に笑うため、たくさんの宿題をくれた116球だった。【鎌田良美】