<高校野球山形大会:酒田南10-0高畠>◇19日◇3回戦◇天童市スポーツセンター野球場

 夏連覇を狙う第2シード酒田南は高畠に5回コールド勝ちし、2年連続19度目の8強進出を決めた。山形県内に記録的な大雨被害があった前日18日、思わぬ長時間移動を強いられたが、5番・石塚大地(3年)の満塁本塁打を含む11安打で圧勝した。

 酒田南が盤石の強さを見せつけた。18安打17得点の初戦(東根工戦)に続くコールド勝ち。前日の長時間移動の影響は、まったく感じさせなかった。

 初回、難なく2点を先制。4回に1点を追加後、なおも1死満塁から石塚が左越えにグランドスラムをたたき込み、勝負を決めた。前の2打席で凡退していた石塚は「スライダーを狙っていました。完璧でした」と公式戦初本塁打を振り返った。

 低気圧の影響で大雨に見舞われた前日は、室内練習後に酒田市の母校を出発。だが途中で国道47号が通行止めになり、1度母校に戻った。その後、秋田県側に北上、大きく迂回(うかい)して山形市内の宿舎に入った。普段なら車で2時間半たらずの行程だが、約6時間の大移動。阿彦祐幸監督(41)は「選手は座っていただけ。疲れたのは部長でしょう」と移動バスを運転した鈴木剛部長(32)を気遣った。

 今春卒業した先輩の活躍も刺激になった。前日のプロ野球フレッシュオールスターで、楽天・下妻貴寛捕手(18)が途中出場で2安打1打点と活躍。携帯電話のワンセグで観戦した石塚は「大舞台に立ってすごいです。今年は自分が引っぱっていきたい」と2年連続の甲子園出場に闘志を燃やした。【佐々木雄高】