“レジェンド”が甲子園に帰ってきた。第86回選抜高校野球大会(21日から12日間、甲子園)出場校の甲子園練習が18日、最終日を迎え、16校が練習を行った。27年ぶり出場の池田(徳島)は、伝統の「やまびこ打線」が好調で、練習試合無敗の9連勝で聖地に乗り込んできた。1回戦の相手、海南(和歌山)はエース岡本真幸投手(3年)が右手のひら下部を骨折していることが判明。関東勢は佐野日大(栃木)のドラフト候補、田嶋大樹投手(3年)が甲子園練習に登場した。

 池田の歴史が、再び時を刻み始めた。春は87年、夏は92年以来。池田のユニホームが甲子園に戻って来た。「やっぱり、甲子園ですね。ここに来なければと思いました」。万感の思いで、岡田康志監督(52)はノックバットを握った。

 畠山準(元横浜)水野雄仁(元巨人)ら強力打線が猛威をふるった82年夏、83年春とはまた違った今年のカラーで、やまびこ打線が復活しようとしている。練習試合は9戦無敗。16日のダブルヘッダー坂出商(香川)戦は2試合連続2けた安打を打ち、13-8、14-5の圧勝で締めた。同戦で2ランを放った主砲の岡本昌也内野手(3年)は「一生懸命打つのが池田の伝統。自分の打撃をして、池田の4番としての姿を見てもらいたい」と意気込む。

 この日の球場入りを前に、岡田監督、ナインは懐かしい人、懐かしい場所に対面した。兵庫・西宮市にあったかつての県の定宿「網引旅館」のおかみ、秀高節子さん(82)と、かつての池田ナインが散歩した公園で再会。同行した野球部OB会長の森本秀明さん(57)は「1つ勝ってね、と激励されました。奥さんと同じ言葉でした」と笑った。池田町出発前にあいさつに行った故蔦文也元監督の夫人キミ子さん(90)にも「頑張って。できたら1つ勝って」と激励されていた。

 22日の初戦は、全校生徒、バス50台に分乗した応援団約3500人がアルプスを埋める。生けるレジェンドへ、池田が新時代を迎える。【堀まどか】

 ◆27年前の池田VTR

 86年春はエース梶田を擁して優勝し、87年春は3校目の連覇を目指して登場。1回戦は学法石川(福島)のエース作山(東北福祉大→ダイエー)に3安打と封じられながらも、敵失などに乗じて6-1で突破。2回戦は10安打で8点を奪い、明石(兵庫)に8-3で快勝した。準々決勝は甲府工(山梨)の中込(後に阪神)に多田、船本、桑原と3本塁打を浴びせ9-0で大勝。準決勝は全試合完投していたエース糸永が背筋痛をこらえて先発も、2回途中でKOされ、関東第一(東京)に4-7で敗れた。