エースがチームをけん引するぞ!

 佐久間は身長が155センチで、静岡県内最小投手の平出元(はじめ=3年)が「小さな巨人」となる。

 出場113校の中で、最も小さい背番号1だ。佐久間の平出は155センチ。文部科学省の13年度の調査結果によると、中1の平均身長が152・89センチで中2は160・13センチ。高3は170・47センチだ。打席に立つとかがんで球筋を見極める球審と目線がかわらない。

 それでも能力は高い。練習試合で無安打無得点を成し遂げた経験もある。見えにくいリリースで制球もよい。左投げの有利もあり一塁けん制もうまい。体の小ささでスタミナ不安を感じさせるこちらの質問にも「スタミナは大丈夫」とキッパリと話した。走り込みよりも投げ込みで投げる体力を蓄えた。収穫もあった。「チェンジアップを身につけた」。最速は120キロほどだが制球と緩急で相手を打ち取っていく。

 打撃も必見だ。スイングは鋭く「通算本塁打は5本」と話すように、練習試合では84メートルある右翼フェンスの中段にライナーで当てるほどだ。平出は「投打ともに活躍しないと」と中心選手としての自覚もある。グラウンドの脇にはこれまでの野球部員の名前と、平出の練習試合でのノーヒッターなど、各年の成績が刻まれている。過去最高は63年に3勝しての8強入り。それ以外は2勝が最高だ。平出は「3つ勝つ」と小さな体に闘志をこめた。【加納慎也】