<高校野球茨城大会:土浦日大6-5日立一>◇5日◇1回戦◇水戸市民球場

 2時間44分の熱闘の末に、最後に笑ったのは土浦日大の2年生エース大森亮輔(2年)だった。延長11回、5番筧竜太朗外野手(3年)の先頭打者安打から、2つの悪送球でサヨナラ勝ち。最後は大森が放った三ゴロを三塁手が一塁に悪送球し、「力は少し入ったけれど、自分のせいで負けられない。何が何でも抑えたかった」と歓喜の輪に飛び込んだ。

 大森は2回までに6安打2四死球で5失点も、3回以降は8安打3四死球で無失点と立ち直った。「直球が高めに浮いてしまった」と反省の言葉を口にしたが、序盤の5点ビハインドで吹っ切れた。その後はスライダーで緩急をつけ、低めを意識し、打たせて取った。気付けば166球を投げ抜き、最後までマウンドを守った。

 好敵手の存在が疲労感を忘れさせた。日立一のエース左腕、木村亮介投手(2年)は水戸五中の同級生だった。試合前には、お互いの健闘を誓い合って一戦に臨んだ。4回から木村が救援登板すると、闘志がさらにみなぎった。いつもは100球を超えると疲れてボールが走らなくなるが、ライバルとの投手戦にアドレナリン全開。球威は最後まで落ちなかった。

 水戸五中に転校する前に在籍した茨城中では、木村と水戸市地区大会の準決勝で投げ合い、敗れた。その時以来の再戦で、同じ水戸市民球場で、今度は雪辱を果たした。6月に還暦を迎えた増田克史監督(60)は「すさまじい試合。寿命が縮まったよ」と振り返り、「相手が同級生だから『途中で代えないぞ』とは伝えていたが、3回以降の大森のプレーは褒めるべき」とたたえた。

 順当に勝ち抜くと3回戦で、昨夏甲子園8強の常総学院と当たる可能性が高い。大森は試合後、同校では86年夏以来の甲子園を意識し、「あいつの分まで勝たないといけない」。力を引き出してくれたライバルの分まで、完全燃焼を誓った。【鈴木みどり】