<高校野球静岡大会:韮山4-0清水東>◇19日◇1回戦◇愛鷹広域公園野球場

 韮山が清水東を下した。先発工藤裕二朗(3年)が4回から足をつり制球を乱したが、開会式翌日にけがをし欠場した土屋将平主将(3年)へのナインの思いと守備に助けられ、最後まで投げきった。

 最終回、先発工藤は2死満塁のピンチを招いたが、最後の打者を三振に仕留めた。「最後は土屋にウイニングボールを渡したかった。捕手からボールをもらって渡しました」と笑顔を見せた。

 開会式翌日の13日、土屋主将は練習前、前のめりに倒れてあごを骨折。病院で19日の試合を伝えたが、手術が必要で出場は許されなかった。土屋は「甲子園に憧れていて、最も思いを入れていたので悔しい。応援してくださる人に申し訳なかった」と悔しさをにじませた。

 主将のこの思いを、中学から一緒にプレーしてきた高村真登(まさと=3年)は、土屋の手袋をはめて右翼手で先発。6回には好機を広げる1本を放ち、守備でも3、4回に好捕を見せた。高村は「チームで一番努力していたので、本当に残念。今日は将平の分も負けられなかった」。また、工藤も前日18日、応援団に自分の打席の時に主将の応援歌であるGReeeeN「イカロス」の演奏を依頼、見事に貴重な2点目となる中犠飛を放った。

 足をつりながらも土屋主将の思いを背負い最後まで投げきった工藤は「主将が戻ってくるまで勝ち続けなければいけない。スタンドに多くの方が応援に来てくださったので、その思いをつないでいきたい」と連勝を誓った。【大野祥一】