<高校野球愛媛大会:済美10-0新居浜東>◇22日◇2回戦◇松山中央公園

 今秋ドラフトの目玉、済美・安楽智大投手(3年)は4回1安打5奪三振無失点と好投した。

 復活の夏は、進化の夏になった。安楽の直球は、前回を1キロ上回る147キロをマークした。三島との1回戦から続く連続無失点イニングは13に伸びた。好結果のみならず、さらにうれしい手ごたえもつかんだ。

 「きょう(22日)のスライダーが一番切れていました。(昨秋の)右肘をケガしたあとでは、一番と言っていいくらい。昨年の台湾のときくらい?

 そうです!」。この日4個の三振を奪ったスライダーに、胸を張った。

 昨秋、愛媛の16歳を「世界の安楽」にしたのはU18W杯(台湾)。予選A組1次ラウンド・ベネズエラ戦で毎回の16三振を奪い、2安打完封。同2次ラウンドは、キューバを相手に8回10奪三振。最速157キロの剛球と並ぶ「宝刀スライダー」がよみがえった。

 4番打者以外にはセットポジションで投げ「テークバックは小さめに取った。テークバックでうまく力も抜けました」と要因を分析。マウンドで右足1本でよりしっかり立てるようにもなった。走り込みの成果だった。昨夏の愛媛大会時は試合翌日はノースローだったが、今年の16日三島戦翌日は立ち投げ、遠投を敢行。「愛媛決勝までのスタミナを考えて」と明かした。

 ロッテ松本編成統括は「取りたいところで三振を取っている。ダルビッシュやマー君は取りたいときに三振を取る。そういう投手になれると思う。プロでも即戦力になれる高校生投手。あのスライダーは1軍でも通用します」とメジャー右腕との共通項を認めた。

 上甲正典監督(67)は「目指せ!

 目指せ!

 目指せ!

 150キロ!

 安楽には、ずっとそれを言い続けてる」。愛媛連覇には剛球復活が不可欠と願う。「もっといいピッチングができると思う。150キロは出ると思います」とエースも請け合う。高校最後の甲子園を目指し、怪物はよみがえる。【堀まどか】

 ▼昨秋のU18W杯

 安楽は9月2日の予選1次ラウンド・ベネズエラ戦(台湾・斗六)で毎回の16三振を奪い、2安打無四球完封。最速150キロの直球とスライダーで三振の山を築き、衝撃の世界デビューを飾った。さらに同6日の2次ラウンド・キューバ戦(同・台中)は6者連続を含む10奪三振で8回無失点。3試合18イニング無失点で準優勝に貢献し、最優秀防御率、最高勝率、ベストナインに相当する「オールスターチーム」の先発投手の3部門に選出された。