<高校野球福岡大会:筑紫8-1青豊>◇22日◇5回戦◇筑豊緑地

 進学校旋風が巻き起こった。東筑は頭脳野球で優勝候補の東福岡に思うような打撃を許さず勝利。3年ぶりに8強入りした。筑紫は終盤に打線が爆発し青豊を8回コールドで破り、創部12年目で初の8強入りを果たした。両校は25日の準々決勝(北九州)で激突する。

 全校応援の前で、筑紫ナインが8強という新しい歴史を刻んだ。木村誠監督(34)は「夢みたいです。試合を重ねてうまくなっている」と驚く。中盤までは1点差の接戦も終盤に打線が6点を奪い8回コールド勝ち。73年開校の県立高だが、野球部は03年に創部。今年が12度目の夏だった。

 ラグビーの強豪で知られる筑紫では、野球部には練習グラウンドがない。学校の裏庭と学校前に2カ所、ブルペンほどのスペースがあり、網で囲んだ中で投球練習や打撃練習を行う。進学校のため、平日の練習は約2時間。フリー打撃やノックは週に1度、春日や小郡の球場を借りて行う。それ以外は近くの養護施設の小さなグラウンドを借りるなど、工夫に工夫を重ねて練習を続けている。

 恵まれない環境でも、投球練習だけは、いつでもできる。そこで現れた新星が背番号「10」の貞光旦就(あきなり)投手(2年)。昨秋から覚えたシンカーを武器に8回1失点完投。16日の4回戦春日戦では延長14回を無失点で投げ抜いた。4戦39イニングで3失点と、まさに大黒柱の働きだ。「声援が力になった。試合をするのが楽しい」と笑う。放課後は「目立たない」野球部が、この夏、最高の輝きを放っている。