第96回全国高校野球選手権(甲子園)は9日、台風11号の接近による降雨のため開会式と第1日の3試合が中止、順延となった。盛岡大付(岩手)は東日本大震災のドキュメンタリーを鑑賞。遠藤真内野手(2年)ら被災した3人が、甲子園出場の喜びをかみしめた。

 「岩手の代表であること、命の尊さを感じながら初戦を迎えよう」。盛岡大付・関口清治監督(37)はそう言って、用意していた東日本大震災のドキュメンタリー映像をナインに見せた。被災地の人らが、震災の体験を語るものだ。

 18人のメンバー中、岩手県大槌町出身の前川剛大主将、釜石市出身の萬慎吾(ともに3年)、福島県いわき市出身の遠藤の3人は、11年の震災による津波で家が全壊した。一塁コーチとしてチームに貢献する萬は「支えてくれた人たちのことをあらためて思い出した。がんばらなきゃいけない理由がある」と、16日の初戦東海大相模(神奈川)戦へ気持ちを高めた。

 延期により、開会式は震災からちょうど3年5カ月のあす11日になる。1カ月の避難所生活を思い出したという5番二塁の遠藤は「そういう日になるのは、何かがあるのかな」とポツリ。「生きていることに感謝して、勝つために万全の状態で臨みたい」と勝利を誓った。【高場泉穂】