<高校野球南北海道大会:札幌一5-2東海大四>◇18日◇準決勝

 札幌一が春の王者・東海大四を5-2で下し、6年ぶり2度目の甲子園へ王手をかけた。両校のスクイズが明暗を分けた。東海大四は4回の同点機にサイン違いからスクイズを失敗。逆に札幌一は8回、4番高石大道主将(3年)の「勘違いスクイズ」が相手の意表を突き、ダメ押しとなった。北海は北照を破り9年ぶり34度目の夢舞台へマジック1とした。

 神様のいたずら?

 がスクイズを敢行した両チームの明暗を分けた。笑ったのは札幌一だった。8回表1死一、三塁。打者はこの日2安打を放っている4番高石。外野フライでも1点入る場面で、強打の高石が三塁前にバントした。これが完全に東海大四の意表を突き、三塁から中村佑が楽々生還。ダメ押しとなる5点目を奪った。

 実はこれ、高石がサインが出たと勘違いしたプレーだった。中村佑は「何してんだ、バカヤロー」と心で叫びながら本塁突入。だが高石のバントが打球の勢いを殺した絶妙のもので、結果的にきれいなスクイズ達成となった。

 高石は三塁走者の中村佑とは合図も何も交わさなかったが「1番打者なので細かいプレーには一番対応力がある。心配していなかった」。自信も今は4番だが、もともと小細工もできる打者。いろいろな要素がそろい、高石以外は誰も分かっていなかった「勘違いスクイズ」が完成された。

 逆に東海大四は球運に見放された。4回だ。1点を返しなお1死三塁と同点のチャンス。佐藤大が投前にバントしたが三塁走者が動かず、みすみす1死を損した。次打者も凡退し2-2の同点はならなかった。同じサイン違いでも天と地の隔たり。これが野球の怖さ、かつ面白さなのだろう。

 試合後、東海大四の伏見主将とがっちり握手を交わした高石は「頑張れよ、ありがとう」の言葉を受け「戦ってきたチームの分まで」と決勝の北海戦に向かう。滝川西の監督だった父克美さん(55=現札幌大監督)に連れていってもらった、スタンド観戦の甲子園から10年。「松坂の時で、すごい盛り上がりだったのを覚えています」。あこがれの地に、今度は自分が父を連れて行くつもりでいる。【本郷昌幸】