<全国高校野球選手権:仙台育英4-1菰野>◇8日◇1回戦

 3年ぶり2度目出場の菰野(三重)はプロ注目右腕・西勇輝投手(3年)が毎回の13安打を浴びて、仙台育英(宮城)に1-4で敗れた。三重県勢は10年連続の初戦敗退となった。

 三重の快速右腕が初戦で姿を消した。1-4で迎えた9回裏2死。次打者サークルで最終打者の空振り三振を見届けた西は下を見つめた。「(自分に打順が)回ってこいと思っていた。自分がもっとコースを突けば、少ない点数に抑えることができたと思う…」。終わってみれば、毎回の13安打を浴びて4失点。プロ注目の右腕は1試合で甲子園を去ることになった。

 あっという間に先制点を奪われた。1回表、仙台育英の1番橋本到外野手(3年)に左中間を破る三塁打を浴びると、次打者の遊ゴロを主将の稲垣裕也内野手(3年)が本塁へ悪送球で、先制点を献上した(記録は野選)。この日チームは3失策を記録したが、目に見えないエラーも重なってリズムは狂った。戸田直光監督(45)も「1点差勝負ができると思ったが、守備のミスが痛かった」と振り返った。

 この悔しさはプロの舞台で晴らす決意だ。試合後、西は「(プロに)いきたいという気持ちはある」とプロ入り希望を表明。甲子園での結果は残せなかったが、ネット裏から見守ったスカウトも右腕を高く評価した。オリックス熊野スカウト部長は「あとはプロでどれだけ鍛えられるか。もちろん上位じゃないと(指名は)無理だと思う」と話せば、中日中田部長も「今日の出来で評価が変わるものじゃない。将来性も含めて楽しみな存在」。全国舞台で悔しさを味わった右腕は今後、最高峰のプロで新たな活躍の舞台を目指していく。【桝井聡】