<高校野球京都大会>◇27日◇決勝

 龍谷大平安が5-4の逆転サヨナラで福知山成美を下し、6年ぶり30回目の夏の甲子園出場を決めた。9回、前田滉貴外野手(3年)の適時打で追いつき、1死満塁から中佑貴内野手(3年)が右犠飛を放って決着をつけた。校名変更後、初めて迎える歓喜の瞬間だった。原田英彦監督(49)が体を震わせながら、右手で顔を覆って泣いた。「選手の根性に…」。涙で声にならない。「感謝したいです。本当にありがとうございました!」。苦労した分だけ、喜びは大きかった。

 下級生への暴力で、昨年の秋季大会を辞退。阪神橋本良平捕手の弟で主将の貴弘捕手(3年)は言う。「秋に出られず苦しかった。何を目標にしていいのか分からなかった」。年内いっぱいは対外試合もできず、紅白戦を繰り返すだけだった。原田監督も「あのころはバラバラだった」と振り返る。6月からは失った時間を取り戻そうと、ミーティングを重ねた。練習中のミスを互いに指摘。1球の重みを大切にしたからこそ接戦も制した。犠飛を放った中は「1点を全員で取りに行く野球ができた」と胸を張った。

 「福知山成美に勝っての甲子園は意味がある」と原田監督。相手の田所孝二監督(49)とは、社会人野球の日本新薬時代に建設部で約5年間一緒に働いた。決勝で初顔合わせだったライバルを退け、30回目の夏切符だ。「まだまだ僕たちは強くなる」と橋本。急成長した勢いを、甲子園でも発揮する。

 ◆龍谷大平安

 1876年(明治9)に「金亀教校」として創立の私立校。2003年から男女共学。昨年4月に平安から校名変更。プログレス、クリエイト、アスリートの3コースがある。生徒数は1239人(うち女子475人)。野球部は1908年(明治41)創部。部員は71人。春は36度甲子園に出場。主なOBは阪神桧山、西武銀仁朗(炭谷)ら多数。所在地は京都市下京区大宮通七条上ル御器屋町30。安井大悟校長。