<高校野球北北海道大会>◇24日◇1回戦◇名寄地区予選

 第92回全国高校野球選手権の北北海道名寄地区予選が稚内大沼で開幕。豊富は剣淵に5-1で敗れた。

 道内ただ1人の高校硬式野球部女子主将、豊富の鴨野菜摘(3年)の夏は、開幕戦の2時間6分で終わった。1年春から副主将、昨秋から主将としてチームをけん引。大湊研一朗監督(32)が感謝の気持ちを込めて与えた最後の役目はスコアラーだった。

 試合中盤で劣勢になると、ベンチから大声でナインを激励した。グラウンドには出られない。「伝令にも出たかったし、みんなと一緒にマウンドに集まり、励ましにもいきたかった。プレーも…」。

 それでも野球に懸けるひたむきさが通じ、2年連続で始球式の栄誉に浴した。投球前に左手でごしっと涙をぬぐい、チームメートの本林佳祐捕手(1年)が構えるミットに直球を投げ込んだ。今年1月に他界した祖父重吉さん(享年74)のことを思い出した。小さいころ、キャッチボールの相手をしてもらったことが頭をよぎった。

 敗戦と同時に主将としての役目は終わった。最後は仲間と一緒に、記念撮影に収まった。はじけた笑顔は満足感にあふれた。