<高校野球北北海道大会>◇25日◇1回戦◇名寄地区予選

 来年4月に統合が決まっている稚内商工と稚内が激突、稚内商工は0-10の5回コールドで敗れた。同校では来春から生徒募集が停止される。現在の部員数から来年は11人(3年生7人、2年生4人)、2年後は4人しか残らないため、合同チームになる可能性が高い。

 稚内商工は1回表、先頭の山岸博一投手(2年)が右前打で出塁し、敵失と犠打で1死二、三塁の好機をつかんだ。だが、後続が連続三振。2回も3者連続三振に倒れた。その裏に山岸が被安打5、2四死球と崩れて4失点。3回にも2点を献上し、4回から救援した鈴木隆太(2年)も5回につかまった。夏の戦いは1時間9分で終わった。

 チームただ1人の3年生で主将の中村悠希中堅手は、敗戦にうなだれる後輩たちにねぎらいの言葉をかけた。「(合同チームになる時は)お互いのいい伝統を引き継いで、もっといいチームになってほしい」。稚内の主将、阿部広樹中堅手(3年)は「正直、やりづらかった。敵だと思い、一生懸命戦った」と振り返った。

 試合を見守った稚内の井村美彦校長(57)は「来年以降の野球部については、それぞれの学校、野球部が考えることです」と話しながら、統合後に両校の歴史が分かる展示室を設置し、過去の部活動などを振り返る場所とする計画があることを明かした。両校の夏の対戦はこの日を含め15試合で、稚内商工の2勝13敗。日ごろから野球を通じて交流が深く、選手同士も顔なじみ。練習試合も年間6試合行う。学舎もユニホームも違うが、野球に懸ける思いは変わらない。【中尾猛】