第92回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕)の秋田大会の抽選会が1日行われ、出場校の組み合わせが決まった。15日に開幕する秋田は、来年度から統合される鷹巣農林、鷹巣、合川が同じブロックに入り、現校名での「最後の夏サバイバル」を繰り広げる。

 11年度から「秋田北鷹(ほくよう)」になる鷹巣農林、合川、鷹巣(米内沢は部員不足で不出場)が、しのぎを削る。まず春県8強の鷹巣がBシードの14番に札をかけた。続いて合川。「16番」。隣の山だ。鷹巣の鈴木雅翔(まさと)主将(3年)と合川の田村穣主将(3年)が目を合わせて笑った。さらに鷹巣農林の斉藤雅哉主将(3年)が「20番です」と声を上げた。最後の夏はドラマチックだ。

 学校創立101年目の鷹巣農林・斉藤主将は「過去最高だった昨夏の8強より上に『農林』の名を残したい」と2年連続の準々決勝で未来の仲間を待ち受ける算段だ。OB中嶋聡(日本ハム)の激励メッセージを胸に伝統校の意地がある。同48年目の合川・田村主将は「まず1勝して鷹巣と当たる。そこでも勝って甲子園まで行く」。同43年目の鷹巣・鈴木主将も「近隣校で仲はいいし、合川と戦いたい。(過去最高の)準優勝を上回るため負けられないけど」と譲る気はない。

 舞台も整った。会場が同じ県北地区の山田久志サブマリンスタジアム(能代球場)に決まり、各校の教頭は「(異例の)初戦からの全校応援を検討中」と声をそろえた。6月19日には鷹巣農林の伝統行事「大綱引き」に他3校が加わるなど交流は進むが、野球部は不参加。まだ仲間じゃない。ライバルより長く校名を残すため、プライドをかけた戦いが始まる。【木下淳】