<高校野球西東京大会>◇15日◇3回戦

 今春センバツで準優勝した強打の日大三は、狛江にわずか2安打に抑えられながら、2-0で辛勝発進した。

 「負けゲーム。これが初戦の怖さ、夏の重さですね。なにもかもうまくいかなかった。流れが悪かった」。日大三・小倉全由監督(53)はタオルで汗をぬぐいながら話した。2-0のスコア、両チーム合計3安打の数字だけ見れば立派な投手戦。ただ、それが強力打線を売りにするチームの初戦とすればあまりにも寂しい内容だった。

 狛江の2投手に完ぺきに抑えられた。安打は4回に出た萩原辰朗内野手(3年)の左安と8回に山崎福也投手(3年)が打った中安の2本のみ。得点は犠飛と野選によるもので、適時打はなかった。27個のアウトの内訳は飛球(直含む)18、内野ゴロ3、犠打3、併殺1、走塁死1。緩急をつけた相手の狙い通りに凡フライを連発し、9個の四死球でもらったチャンスをまったく生かせなかった。

 2回1死一、三塁で1番平岩拓路(3年)が併殺打、4回1死二、三塁でスクイズ失敗、5回無死二塁でバント失敗。自慢の打撃だけでなく、全国制覇を狙うチームにあるまじきミスも多く出た。日大三の選手を見に来たスカウト陣、偵察隊も肩すかしを食らった。中日正津スカウトは「狛江のバッテリーがうまいね」と相手を絶賛し、早実・和泉実監督(48)は「これが高校野球」と厳しい表情で試合を見つめた。

 2番手で登板の吉永健太朗(2年)が5回無安打8奪三振で試合を締め、チームは辛勝発進。「負けたら終わり。1点多く取ればいいんだ。いい当たり、いいヒットを打つのではなく、苦しいときにどうするかといういい経験になった」と小倉監督。無安打の3番吉沢翔吾内野手(3年)は「緩い変化球で低めの見極めが難しかった。自分たちは打たなきゃいけないチーム。次はやります」と巻き返しを誓った。次戦18日の中大付戦で強打が復活するのか注目が集まる。【木南友輔】