<高校野球北北海道大会>◇17日◇1回戦

 駒大岩見沢がド派手な本塁打ショーで開幕試合を飾った。エースで4番の尾畑愁太(3年)が1回に3ランを放つと、3回には試合を決める満塁本塁打。計7打点を挙げ、投げても4回1安打無失点と好投した。12-2の5回コールドで北見緑陵に大勝し、2年ぶりの夏甲子園へ好発進した。

 満塁本塁打を放っても、尾畑の表情は変わらなかった。ホームベースを踏むと、ようやく笑顔で仲間とハイタッチ。「ヒットを打った結果が本塁打。監督からは1点返すだけでいいと言われてました」と、大会史上12人目となるグランドスラムを振り返った。

 主砲の1発が重圧をはねのけた。開会式直後の第1試合。自然と緊張感が高まる中で力を発揮した。1回裏1死一、二塁。変化球をとらえた打球が右中間スタンドへ飛び込んだ。3回の満塁弾と合わせ、1試合の個人打点も大会記録に1点と迫る7打点。投げても4回1安打で毎回の6三振を奪った。「投げる方でも活躍しないといけないけど、打つ方でも」(尾畑)。佐々木啓司監督(54)は「丁寧にコーナーに投げてくれたし、打線のリズムを作ってくれた。自分のリズムもね」と笑顔を見せた。

 4番を打ち始めたのは、この春から。2年夏まではほとんど打撃練習をせず、打順も下位だった。右投げ左打ち。バットを振ることで投球とは逆の動きにつながることから、体のバランスを考えて練習を始めた。持ち前の野球センスですぐに開花。練習試合も含め本塁打は通算13本打っている。配球を分析して打席に入るなど、投手の経験も生かしている。3回の打席前にアドバイスした佐々木監督は「彼は投打の中心。野球感覚がある」とのみ込みの早さをほめる。打線も引っ張られるように爆発。10安打12点を挙げ、ヒグマ打線健在をアピールした。

 東京出身の尾畑は、07年夏の甲子園に出場した駒大岩見沢の姿に心を打たれ進学を決意。地元近隣の数校から野球推薦の誘いもあったが、北の大地を選んだ。「テレビで見たとき、負けていても笑顔があって、雰囲気が好きになりあこがれを持ちました」と話す。夢の舞台まであと3勝。「この調子で1戦1戦大事に戦いたいです」と力強く言った。【石井克】