<高校野球愛知大会>◇18日◇2回戦

 キャプテン谷口、快打で進撃 !

 愛知大会でノーシードから3年ぶりの甲子園を目指す愛工大名電が瀬戸を6-2で下し、3回戦に進出した。「きわどい球でも振っていこうと思った」。7回裏2死二塁のチャンスに打順が回ってきたプロ注目のスラッガー主将の谷口雄也外野手(3年)は燃えていた。厳しいマークの中、追い込まれながら思い切り振り抜いた打球は一塁線をきれいに破るタイムリー二塁打となった。

 3-0とリードしながら、5回以降は瀬戸の粘り強い反撃に防戦一方だった。いつ同点されても不思議ではないような状況で飛び出した主将の一打に、倉野光生監督(51)も「あの1点が本当に大きかった」と振り返る。

 「康介が見ているから、恥ずかしいプレーはできない」と谷口は言う。2月13日、早朝のランニング中に不慮の交通事故で亡くなったチームメートの徳浪康介さんとともに闘う夏だ。

 この日も1回戦同様ベンチ入りの選手、控えの選手全員が左肩に喪章を付けて試合に臨んだ。三塁側スタンドを埋めた愛工大名電選手の父兄、関係者も「今夏は、なにがなんでも甲子園へ行って欲しい」と選手たちと心をひとつにして熱い応援を繰り広げる。

 春の県大会でまさかの初戦敗退。シード権を失い今大会は1回戦からの出場となった。しかし、倉野監督は「1回戦は快勝。そして、この日は夏の大会らしい接戦を経験することができた」と、今後へいい腕試しができたと言わんばかり。21日からはシード校も登場してくる。ナインの合い言葉は「康介と一緒に甲子園」だ。ピンチになった時は康介君が、そっと背中を押してくれるはずだ。【坂祐三】