<高校野球北北海道大会>◇18日◇1回戦

 旭川実が釧路工を2-0で下し11年ぶりの夏の甲子園出場に向けて好発進した。

 旭川実の左腕、鈴木駿平(3年)が釧路工打線を散発2安打に抑えて今大会完封一番乗り。変化球を低めに集め、突け入るスキを与えなかった。公式戦初完封した地区代表決定戦に続く完封勝利で、今夏の連続無失点を20イニングに伸ばした。

 最後の打者を打ち取ると、鈴木は両こぶしを突き上げた。130キロ台の直球にスライダー、フォークなど4種類の変化球を自在に操った。「低めに集め、的を絞らせない投球を心掛けた」。岡本大輔監督(35)は「ストライク先行で、と話していた。よく投げてくれた」とねぎらった。

 興部町出身。小学5年の時、03年春の甲子園に出場した旭川実の試合を観戦しに行き、野球への思いを強めた。中学卒業時、両親の反対を押し切って野球留学を決意。スタンド観戦した母美香子さん(48)は「最初は食も細かったけど、たくましくなりました」と息子の成長に目を細めた。

 182センチ、82キロの大型左腕だが、1760グラムの未熟児で生まれた。小児ぜんそくを患い、吸入器を携帯する日々。風邪をひけば眠ることができず、体力をつけるために小学1年からボールを握った。中学からチームメートの安藤は「昔は弱気だったけど、エース番号をつけて変わった」と言う。

 地区2回戦の旭川明成戦の8回からこの試合まで、スコアボードに「0」を20個並べた。鈴木は「去年は1番を背負って準々決勝で負けてしまったので」と雪辱を誓う。旭川実が11年ぶり夏甲子園へ、力強い1歩を踏み出した。【石井克】