エンゼルスは25日(日本時間26日)のドジャース戦に敗れ、6年連続でポストシーズン(PS)進出を逃した。今季は開幕10戦で3勝7敗。スタートダッシュに失敗し、9月2日の時点で12勝25敗となり、最大13の借金を抱えた。それでも粘りをみせ、残り3試合の時点までPS進出に望みをつないだ。

その間、打線の核となった選手が、若手のジャレド・ウォルシュ内野手(27)だ。9月は20試合で打率3割4分6厘、9本塁打、24打点(25日の試合終了時点)。2番に定着し、打線をけん引した。9試合連続打点と得点をマークし、打点が公式記録になった1920年以降、新人ではメジャー初で、ア・リーグ全体でも8人目の快挙となった。

同選手は19年の5月中旬にメジャーに初昇格。エンゼルスでは大谷翔平投手(26)に次ぐ二刀流選手として注目を集めた。同年7月19日のマリナーズ戦では一塁手→打者→投手で出場。7回から一塁の守備につき、8回の先頭打者で打席に立ち、その裏に4番手で登板した。1試合で1人三役を担った経験もある。

打者としてのポテンシャルも高く評価されていた。デビュー戦となった5月15日のツインズ戦で5打数3安打の活躍。左打者でパンチ力もあり、打撃練習では柵越えも軽々と放つ。右翼方向に限れば、飛距離は大谷に匹敵するほどだ。だが、構えてから投球を待つ間にグリップを握った両手が大きく上下動する傾向があり、次第に打率が低下した。昨年は79打数16安打で打率2割3厘、1本塁打5打点の結果に終わった。

今季も打撃不振に苦しんでいたが、両手の上下動をできる限りなくし、打撃フォームを改良した。「全て分かったわけでは決してないけど、正しい方向に向かっていると思う」。同僚の主砲トラウトやレンドンらを参考に、無駄な動きを省くことを心掛けたという。8月上旬に一度はベンチ入りメンバーから外れたが、同28日に再合流すると、9月から打ちまくった。

19日のレンジャーズ戦と26日のドジャース戦では「2番右翼」で起用され、来季は一塁と外野を中心に出場することになりそうだ。複数ポジションを守れる万能プレーヤーを重用するマドン監督にとっては、明るい材料。投手力強化がチームの当面の課題ではあるが、来季へ向けて楽しみな若手が台頭した。【MLB担当=斎藤庸裕】

(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)