メジャーリーグはドジャースが地区4連覇を達成し、いよいよ9月30日(日本時間10月1日)にポストシーズンが開幕します。ワールドシリーズ連覇を懸けた、熱戦の火ぶたが切られます。最大の注目は1918年のベーブ・ルース(当時レッドソックス)以来という、10月の大舞台で投打二刀流に挑戦する大谷翔平投手です。
それに先駆けて、日米ともポストシーズンにおける大谷の起用法が話題になっています。先日、アンドリュー・フリードマン編成本部長は先発投手での起用を明かしましたが「10月の戦いは予測できない」と語り、リリーフでの起用も否定しませんでした。
ワールドシリーズでは、先発投手のリリーフ起用がしばしば見られます。最も印象的なのは2001年。当時ダイヤモンドバックスのエース、ランディ・ジョンソンが第6戦に7回2失点で勝利投手となりました。翌日の第7戦では8回途中からリリーフ登板し、9回裏チームが逆転サヨナラ勝ち。メジャー史上最速となる、球団創設4年目で世界一の立役者となりました。
また、14年のワールドシリーズではジャイアンツのエース、マディソン・バムガーナーが第5戦で完封勝利したかと思いきや、第7戦では5回からリリーフ登板し、最後まで投げ切って初セーブを記録。10年から5年間で3度の世界一に大きく貢献しました。
思えば、ドジャースも20、24年と世界一に輝いた時、ワールドシリーズ最終戦で本来先発のフリオ・ウリアス、ウォーカー・ビューラーがリリーフで試合を締めました。そう考えると、もし今年ワールドシリーズに出場したら、決定的な場面において、23年WBCで経験した大谷がクローザーを務めることも十分考えられると思います。
そこで問題となって来るのが仮にDHからリリーフで登板した場合、DHのスポットを失い、打者として出場できなくなる現状のルールです。デーブ・ロバーツ監督は大谷の外野起用について否定的な見解を示していますが、過去にポストシーズンで外野を守った投手がいました。
1980年代にカージナルスの名将ホワイティ・ハーゾグ監督が、抑え役トッド・ウォレルに代えて、ときおり左腕ケン・デーリーをワンポイントで起用。その時ウォレルは外野を守り、デーリーが役目を果たすと再びマウンドに戻りました。それを87年ナ・リーグ優勝決定シリーズでも実行しました。
その大谷とともにエースとして期待されるのが、山本由伸投手です。特に、レギュラーシーズン最後の5先発で防御率0.79と抜群の安定感を誇り、ロバーツ監督も「まさにエースだ」と大絶賛。ポストシーズンのパワーランキング投手部門でも、あのタリク・スクバル(タイガース)に次ぐ2位と高い評価を受けています。強力な先発ローテーションで、大谷と山本の順番にも注目したいと思います。
佐々木朗希投手は、日米を通じて初のリリーフ投手として戦列に復帰しました。以前にもこのコラムで書きましたが、02年9月にエンゼルスで彗星(すいせい)のごとくデビューし、ポストシーズンでも中継ぎとして大活躍し、球団史上初の世界一に貢献した「K・ロッド」ことフランシスコ・ロドリゲスを思い出しました。
その後もメジャーでは08年レイズの新人デービッド・プライス、20年いきなりポストシーズンでメジャーデビューしたレイズのシェーン・マクラナハン、同じ年にマイナー経験なしでデビューしたホワイトソックスのギャレット・クロシェ(現レッドソックス)など、大舞台で剛腕ルーキーのリリーフ起用が目立ちます。
そういう意味で、ドジャースは救援投手陣が最大の弱点だけに、100マイル級の剛速球で三振を奪える佐々木の攻撃的なピッチングは大いに魅力的。ロバーツ監督は「K・ロッド」のような救世主として、ひそかに期待していると思います。
ポストシーズンは、最大22試合で13勝しないと世界一になれない長丁場。その世界一への道のりで、フリードマン編成本部長が「何が起こるか分からない」と言うように、はたして大谷のクローザー起用、外野守備と三刀流もあるのか、連日の熱戦から目が離せません。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




