例年よりも動きが遅い今オフのFA市場。新たな契約が決まらない大物選手の1人がドジャースからFAになっているダルビッシュ有投手だ。ダルビッシュ自身はツイッターで6チームが獲得の意思を示していることを明かしている。その1チームがヤンキースで、ブライアン・キャッシュマンGMがそのことを断言している。さらにダルビッシュ自身もヤンキース入りに前向きという報道もあった。

 ただヤンキース側には課題がある。ダルビッシュのような大物選手と高額な契約を結ぶと、抱える選手との年俸総額の上限を超えた場合に課されるぜいたく税の対象になる可能性があるためだ。ヤンキースは以前、ぜいたく税を払うことになろうがスター選手を揃えていたが、近年はその姿勢を改め、選手年俸総額のコントロールを行っている。今オフも1億9700万ドルという上限を超えないようにするとみられているのだ。

 そのため年2500万ドル程度と目されているダルビッシュとそのままの金額で契約すると、ジャコビー・エルズベリー外野手やデビッド・ロバートソン投手との契約を見なおしたり、放出する必要が出てくると指摘されている。

 こうした状況にやきもきしたのか17日の地元紙ニューヨーク・ポストには「この契約でユウ・ダルビッシュをヤンキーにできるのでは?」という記事が掲載された。ジョエル・シャーマン記者が彼の考えるぜいたく税への影響を低減できる契約内容を提案する、という内容である。

 記事で示された6年で総額1億2000万ドルという契約だ。ただし最初の2年は年3000万ドルで、続く2年が年2000万ドル、最終の2年間は1000万ドル、ダルビッシュには2年目と4年目の終了時に契約を終了できるオプトアウトの権利を与えるとしている。

 こうするとダルビッシュは2年間なら平均3000万ドルを、4年なら2500万ドルを受け取れる一方、ぜいたく税は総額を契約期間で平均して計算されるのでヤンキースにとっては年2000万ドルに抑えられるということになるというのだ。

 このアイデアについてシャーマン記者はコミッショナー事務所と選手会に質問したところ、共に可能と回答されたということである。実はこうした支払額を年によって変動させても、平均して計算されることを利用した契約はしばしば見られる手法ではあり、実現性は高い。

 こんなアイデアまでが披露されるほど地元メディアからも期待されているダルビッシュのヤンキース入りは果たして実現するだろうか。